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  〜医療教育への患者参加〜闘病体験を教育現場にどう活かすのか?

取組事例2
 近澤 洋平  (財)医薬情報担当者教育センター 総務部次長 
 

 皆さんこんにちは。ただいまご紹介いただきましたMR教育センターの近澤と申します。私、この自己紹介のところに1962年12月21日生まれということで、普通、こんな日にちまで書く人はいないと思うのですが、とても大切な日なので、私は自己紹介のときに必ず言わせていただいています。
 これは私の母親が実は私をお腹の中に身ごもったときにサリドマイドを服用しておりまして、皆さんご承知おきとは思いますが、1961年に西ドイツでは販売中止になっているのですが、日本では厚生行政が遅れたので、1962年になってから製品回収をされています。私、12月21日ですから、西ドイツで販売中止になったときと同じタイミングで、日本で販売中止になっていれば、母は飲むことはなかった薬なのです。


 

 何が言いたいかというと、母は「産みたくない。こわい」と申していたそうです。それを祖母が「もし障害がある子どもが産まれても、私が育てるから産みなさい」と。そのひと言で私はこの世に誕生し、そして、かけがえのない友人や家族、そして、いろんな方に支えられて、自分の人生を送っております。生まれたときから、おまけの人生になっていて、自分が世の中に生まれてきたということは何か意味があるのだろうということで活動をしている次第です。
 あともうひとつは、昨日、大学時代の、本当に奇しくもこういうタイミングで、昨日、大学の同窓会があったのですが、その友人のひとりが悪性リンパ腫にかかりまして、昨年、毎年10月に最後の土曜日に同窓会をやろうねといっていたのですが、昨年は欠席でした。闘病中だということで、みんなで寄せ書きをかいて、来年も10月31日にやるからぜひおいでということで言いましたら、昨日は来てくれまして、杖をついて、末梢神経障害が残っていて、リハビリ中だったのですけども、大変元気な姿を見せていただいてとても嬉しかったです。
 もうひとつ嬉しかったのは、その彼が闘病中に一番勇気をもらったのは患者会、今日もいらしていますグループ・ネクサスに登録をされて、そして患者さん同士の励ましに自分は本当に頑張る気持ちになったといって話してくれたのがとても印象的でした。
 3つ目は、ごめんなさい、自己紹介でこんなに長く引っ張ってはいけないのですけど、財団法人というと、ついつい皆さんはなにか悪役のように思われるかもしれませんが、天下りだとか、補助金だとか、いろんなことを思われるかもしれませんが、われわれは平成8年に誕生しました教育センターです。医薬情報担当者というのを略してMRと呼んでいます。Medical Representativeの略です。
 このセンターができた経緯は、これまで製薬会社の営業マン、プロパーと呼ばれていました。ときどき映画やドラマなんかで悪役扱い、昔は、医師、薬剤師に多大な接待をしたり、キャッシュバックをしたり、そして、「5千錠買っていただいたら、5千錠おまけをつけましょう」みたいな、とても荒っぽい商売をしていました。医薬品という命にかかわるそういった製品をそういう販売活動するのはやはり当然おかしな話で、国会でも突っつかれましたし、社会からも糾弾されました。やはりMRがしっかりと知識をもち、倫理観をもって、そして、ちゃんと高いスキルをもって、患者さん中心の医療に貢献する、そういうスタンスで営業活動をしようということで、資質向上、MRが資質向上して、そして、医薬品の適正使用が実現されて、もって、国民保険の、保健衛生の向上になるということでわれわれはMRの認定試験という試験で資質向上策を具現化したり、教育研修のカリキュラムを通して、そういった各製薬会社さんへのいろんなサポートもしている次第です。
 こんなセンターに所属していて、私が患者講師に対して大変なエールを送りたいと思っています。ただ、そこにはいろんな問題点もあります。それを今回皆さんと一緒に共有していきたいというふうに思っております。
 まずMRの定義なのですが、これは定義というものがございまして、「MRとは、企業を代表し、医療ロイヤリティの適正な使用と普及を目的とし、医療関係者に面接の上、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者をいう」というふうに定義されています。もちろん製薬会社に所属する営業マンです。医薬品は画期的な新薬が発売される、品質の高い後発品が発売される、これは普及して患者さんに使われなければ、世の中には貢献できません。ですから普及、営業活動というのは、それは必ずしなければいけない行為です。ただ、それが冒頭お話したように、以前は薬の効能や効果や用法・用量とは違うかたちで、薬に処方を依頼していた。それによって過剰投与や適正な使い方、薬漬けの医療というように否定されておりました。本当にこの適正使用を実現したいというのが私たちの願いです。
 医療関係者からもちろんそのように見ていただいています。医療従事者と同じ目線に立って、そして医薬品の適正使用に貢献してほしいとエールを送っていただいています。医師の方々からすれば、新しく出てきた薬はやはりこわい。どうやって使えばいいのか、ちゃんとした安心感をデータとして示してほしい。こういうニーズがあります。当然、MRはそのニーズに対応してお薬の安全性、有効性について、確実な状況提供をいたします。
 もうひとつ製薬会社からは、製薬会社には企業理念があります。この理念、各社のものを調べてみると大体同じです。良質な医薬品の創製と普及を通して医療に貢献する。目的は、ベクトルは同じなのです。医療従事者が感じているMRに対するベクトル、それから製薬企業が企業理念で設計している理念、これは全く同じで、どこを向いているかというと、患者を向いています。もうこれはまぎれもない事実でありますが、現実はどうかというと、MRには各種委員会があります。私が拾ってみましたけれども、まず医療行為はいたしません。当然、医療というサービスは医療従事者が行い、製薬会社は患者さんとアクセスすることはありません。
 自社品がどのように役立っているのかを実感できません。先程、申し上げたように、医療従事者が医療サービスをします。われわれはそのサービスの部品である医薬品を提供する。そういう役割ですので、患者さんがそのお薬によってどんなに役だったのか、どんなに不都合があったのか、生の声を聞くことはほとんどありません。ただ、われわれの使命としては、患者さんの適正使用を推進するために確実にデータは取ります。もし副作用が発生したら、その患者さん、どんな患者さんがどのように使って、どんな副作用があったのかを確実に収集させていただいて、より良い使い方になるようにフィードバックをさせていただく。そういう仕事をしていますが、直接、患者さんの顔をイメージすることもできなければ、患者さんが向こうからということも感じ取ることができません。
 私も、もっと大きな問題意識は下の2つで、いま医療機関からはMR訪問規制というのが非常に厳しいです。私がそれこそプロパーをしていた頃は、病棟に行って、ドクターをつかまえて、薬の説明もさせていただきましたが、いまはそんなことはできません。これは当然、患者さんが医療を受ける場所ですから、われわれそれは当然入ってはいけないと思います。ただ、昔は、その病棟を歩いているときに、患者さんが病気と闘っている姿を拝見することができました。そして医師や看護師さん、薬剤師さんが必死で患者さんと向き合って医療を提供している姿をこの眼で見ました。ですから同じパートナーとして、「先生、こういうふうな使い方にしましょう」というように一歩踏み込んでわれわれは仕事をしていたようにも思います。ただ、現在、訪問規制というかたちで面会できるところが、例えば、ある会議室だったり、ある控室だったり、そこは医療の現場ではないのですね。リアリティのない中で医薬品情報の伝達と収集と提供をしている。そこでは、疲れたドクターの顔はありますが、必死に患者さんと向き合っている顔ではありません。そこに私はひとつの問題意識を持っています。
 もうひとつは、EBMと称しまして、エビデンス、薬をやはり処方する際にはエビデンスに基づいて選択をされるというのが最近の傾向です。そうすると、各製薬会社はエビデンスづくりで大規模臨床試験の結果はこうでした、有意差が出ましたといって、誇張ではないのですが、その数字でいかにもこの薬がいいのだというような宣伝になりかねませんが、これは平均値なのですね。腫瘍の縮小効果だとか、あるいは生存期間延長だとか、これ、全部平均値で、ひとりひとりの患者さんにとってはどうなのか。こういうバックグラウンドがある患者さんにとってはどれだけ効果が期待できるのか、安全性についてということまでは話ができていないのですね。せっかくこういうひとりひとりの症例のデータの収集をしているわけですから、もっとより良い使い方というのは製薬会社のほうで提案できるのではないかなと思います。
 こういう、いまMRを取り巻く環境の中ではいろんな限界、せっかく医療に貢献しようと思いながらも、はっきり言って数字の追求、営業マンとしてのノルマの達成ということに日々追われているのも事実です。
 そんな中で、MR教育センターが、いま皆さんのお手元にもあるかと思いますが、受付で配らせていただきました。これはセンター設立10周年を記念しまして、懸賞論文をMRの人たちに募りました。そうしましたら、ぜひこれは読んでいただきたいと思いますが、「MRになってよかったこと」というテーマで論文をいただきましたけれども、「売上目標を達成、5年連続達成してよかった」という人はひとりもいないのですね。ありがとうという言葉、「君のあの宣伝してくれた薬のおかげで患者さんが助かったよ」、この言葉に、みんなMRになってよかったと書いているのです。こんな場面は一生に1度か、2度しかありません。私もMRを8年やって、そういうお話をドクターから聞いたのは1回だけです。でもその1回が自分の人生の中で、ちゃんとしたそのMRとしての基軸をもつことができました。そういうことをたくさんの、いま5万8千人のMRがいるのですが、5万8千人の人がそういう気概で仕事をしてほしい。そう思ってこの論文集をつくって公開している次第です。皆さんがそうやって、患者さんから喜ばれた 、本当に喜んでくれた、患者さん家族から本当に感謝をされた、こういうことを、この気持ちを本当に大事にしたいなと思っています。
 さて、具体的なお話をさせていただきます。私、MR教育センターで、220社もの製薬会社が登録されています。そういう方々にセミナーを、今日も何人かいらしていただいていますけど、セミナーを企画したり、講習会をやります。先程申し上げたような問題意識がありますので、やはり患者さんの方に来ていただいて、そして、患者さんが、薬はこういう自分の病気の中で位置づけなのだ、薬というものがこんなに有り難いものなのだ、だけど、こういう点で不便だったとか、そういう生の声をぜひ聞いてもらいたい。それはMRが本当に望んでいるのに聞くことができない情報だからです。
それでお話をいただきました。第1回目は鈴木信行さんに来ていただきました。彼とは会社のときからずっと友人でいた関係で来てくれました。翌年は多和田奈津子さんに来ていただきました。患者さんとしての闘病の体験を語っていただき、勇気をいただきました。われわれが提供している医薬品の先にはこういう患者さんがいるのだと。そういうことを胸にしっかりとした営業活動をしてもらいたいと思っています。
今回このデータをちょっと取らせていただきましたけれども、東京医薬品工業協会の教育研修の担当の人にご協力いただきまして、36人、6社からデータをいただきました。この患者講師がMR教育のリーダーとなれますかというご説明です。91.7%が「意義がある」と答えてくれています。ですから患者さんが、本当に自分が経験されたことを聞きたいという、そういう人たちがたくさんいるのだということをご理解ください。
次の設問です。患者講師を活用したMR教育を実施したことがありますかという設問です。そうしますと、継続的に実施しているというのが8.3%で、一番多かったのが、「チャンスがあれば実施したい」というのが72.2%でした。ここがものすごく大きな壁になっているのではないか、何なのだろう、これはと。「チャンスがあれば実施したい」、実施したい気持ちはあるのだけれども、チャンスがないということです。「今後実施するつもりはない」と答えたのが13.9%。
では具体的に、「患者講師を活用するには何ですか」と聞きましたら、「自社製品がどれほど役立っているのか実感したかった」、やはり自分たちが良かれと思ってやっていることが本当に患者さんにとってはどうなのか、手ごたえを知りたい。あるいは、患者さんのこういうことをやはり知りたい。これは職業倫理として非常に重要な要素なのだろうと。あるいは、研究開発の人なんかはまさに患者の声を聞くことはありません。MRはまだ医療従事者を通してお話を聞く機会はありますが、研究開発の人たちは知りません。ぜひ聞かせてあげていただきたい。そんなふうな話です。
あるいは、もうひとつは、製薬会社の取組みもぜひ患者さんには知っていただきたい。われわれも多大なお金を出して、多大な時間を費やして、研究開発をしています。そういう姿もぜひご理解いただきたい。相互で信頼関係を結びたいなと思います。
もうひとつは、活用しづらい理由なのですが、多かったところは、患者講師のリストがない。これがものすごく多かったです。つまり、患者講師を呼びたいのだけれども、だれを呼んでいいかわからない。私もわからなかったので、私の友人を連れてきた。ここから始まったわけです。
それから次に多かったのが、企業と患者の利害関係がリスクだと答えたのが多かったです。これは非常にデリケートな問題で、例えば、薬害とか、薬の副作用に対して苦しかったご経験が当然おありでしょう。そういうことだけをわれわれが聞いたとしたら、勇気が挫かれてしまう側面もあるのです。そうでなくても製薬会社はいろんなところから叩かれました。当然というところもありますが、ですから、どれだけ役に立っているのかも合わせてお話を聞きたいと思います。当然、苦しかったことも、副作用でつらかった思いもお話いただきたいのですが、薬の良かったところも合わせてお話いただきたいなと思います。
あるいは、不安は、講師の話す内容に不安、これは、リンクしていると思いますが、どんな話をされるのか、自分たちが頑張ろうと思えるような話なのだろうか、そういう不安があるようです。たまたま明日ちょっとアポイントを取ってお会いする鈴木中人さんという方がいらっしゃるのですが、「ウエッジ」の10月号に書かれています。この方はお子さんを小児がんで亡くされた患者家族の方です。この記事を読ませていただくと、最初、手記を書いたときには恨み、怒り、つらさ、そればかりになっていて、だれも共感してくれなかった。だけど5年経って、自分の経験を受け入れて、この経験をどう世の中に役立てようかと考えたときに文章が変わったというふうなことが書かれていました。さぞ病気で闘病体験はおつらかったと思いますが、回復されて、きっと世の中の役に立ちたいと思って患者講師を選択されると思います。それを待っている方がどういうふうにそのニーズをもっているのか。それを理解していただいてぜひお役に立ってもらいたいなと思います。
ちょっと長くなりましたけれども、これで私の話を終わります。どうもご清聴有り難うございました。


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