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  〜医療教育への患者参加〜闘病体験を教育現場にどう活かすのか?

取組事例1
 荒木 孝二  
 東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター 教授 

 

 今日このように患者の会の皆様が素晴らしいシンポジウムを東京医科歯科大学で開いていただきありがとうございます。
 今日幹事としてされている先生方と非常に長年お世話になりまして、医科歯科大学、先程、鈴木さんの話もありましたけども、非常に入学してすぐの学生にこの患者の会の方々の体験、それから今後学生が医療者になっていくのですが、そのときの最初の心構えをつけようということで、オリエンテーションのときに来ていただいていろいろお話をいただいております。それにつきまして簡単ではありますけどご説明をさせていただきます。 


 

 その前にちょっと医科歯科大学のプロフィールをちょっと説明、これ、いま、非常に新しい建物がそびえ立っているのですが、これは大学院の建物ですけども、この医科歯科大学はご存じだと思いますけど、2学部、医学と歯学部がございますが、その医学部の中に医学科、これ、将来医師になる方々、それから保健衛生学科、その中に看護学専攻と検査技術学専攻ということで看護師さんを目指す方とか、それから臨床検査技師、いろいろな名前がありますけど、臨床検査技師のほうを目指す方、それから歯学部に2つありまして、歯学科、歯科医師を目指す学生さん、口腔保健学科、これは一番新しい学科ですが、これは歯科衛生士を目指す学生さんが入学するという、いわゆる薬学部はないですが、2学部の医学系、歯学系の総合の大学という位置づけがなされております。
 これ、医歯学系総合、実際はこれ、学部ですけど、大学院大学という名称をいただいておりますので、一応名称上は全国、国内唯一の医歯学系総合大学院大学ということになっていますが、医学と歯学がいわゆる共有している。そういうのがこの大学の特徴でございます。
 大学のミッションでありますが、たまたま皆さん向こうのエレベーターから上がって来られた方が多いと思いますが、あそこの入り口にもあるのですけど、いま大学の広報誌が2つありますけど、そのうちの『Bloom!』という広報誌に、ちょうど今回出た『Bloom!』のところに大きく大学のミッションが決まりましたということで、学長と理事の先生たちの対談が載っていますが、その中に「知と癒しの匠を創造する」という、私たちも初めて知ったのですけど(笑)、素晴らしいミッションをつくったなというふうに思います。
ただし、実際はその前に、大学の教育機関ですから、教育の理念というのがきちんと決められていまして、これは先程、鈴木さんのほうからもお話がありましたけど、「幅広い教養をもった、感性豊かな人間の養成」、「自己問題提起、自己解決型の想像力豊かな人間の養成」、「国際環境と国際協力に必要とされる人間の養成」という、こういう非常に大きな3本の柱が、大学が教育方針をもっておりまして、これを踏まえて、それぞれの学科で、それぞれの必要なものが、例えば、歯学部の歯学科では歯学部の歯学科で、歯学部の歯学科の教育理念、医学部医学科の医学部医学科の教育理念がつくられております。そういうものは全部ホームページに載っていますが、その一番大きな教育の柱は、この教育理念に則って行う。
それから今日は新入生のオリエンテーションのことをお話しますけども、医科歯科大学はそんなに多くの人数が入るわけではございませんで、一番多いのが医学部医学科で、これは今年の入学生ですね、85名、保健衛生学科が55、検査が35、歯学部歯学科が55、口腔保健学科が27ということで、合計で257名、大体、約260名でございますが、この学生が、大体、入学式は4月6日ですけども、大体月曜ですけど、その週の木曜日とか、金曜日にこの1泊2日の新入生オリエンテーションを実施しています。ですから入学したその週、基本的には4日目と5日目というところで行うというのが医科歯科大学の特徴でございます。
それで、この中に患者との対話のプルグラムを入れましたが、これは平成17年度の新入生より開始した。もちろんオリエンテーションはずっと昔から行っていますが、このような患者の皆さんをお招きしてお話いただくというのはこの17年から、ちょうど丸5年が経ちましたけど、今年の4月に行いましたけど、5年間ずっと行わせていただいています。
実際、このオリエンテーション、新入生オリエンテーションの大きな目的でございますが、決して、申し訳ないですけど、患者さんのお話を聞くというのが目的ではございません。オリエンテーションの4日目でございますが、同期に入学した学生同士、および参加教員との親睦を図ることを第一として、同時に、医科歯科大学全体の各学部、学科、5つありますから、その概要に学生全員に知ってもらうというのがひとつの大きな柱でございますが、もうひとつさらに東京医科歯科大学の学生として、まだ入学して4日目ですが、何を学べるかについて、すでにこの時点で問題発見をしてもらいたい。これは医科歯科大学がそのあと学生さんがいろんな学科に分かれて、それぞれの教育を受けていきますが、そのときに常に医科歯科の学生に考えてもらいたいのは、問題、何が一体問題があるのかということを自分で考える。こういうことの教育を非常に柱にして教育カリキュラムができておりますので、そのスタートのときに、もうすでにこういうことを考えてもらう。合わせて、今後の大学生活、学習面への不安とか、疑問点についてのアドバイスを行うというのが、この新入生オリエンテーションの大きな目的でございます。
これは今年の分ですけども、4月9日、10日ですね、木曜日、金曜日、先程、谷口先生が言われましたけど、箱根の湯本富士屋ホテルという、駅前の、駅に立つと見えるところですけども、そこに今年は新入生が258名入りましたが、その全員、それから参加の教員は医学科、保健衛生学科、歯学科、口腔、すべての教員プラス教養部の27名、それから事務職員が9、プラス保健が2名というような、このような人間たちが全部行きまして、1日目に開会式、各学科説明、ちょっと仲良くコミュニケーションゲームというのがありまして、そのあと患者さんとの対話を90分入れさせていただきまして、これは260名を5つのグループ、約50名から55名に分けまして、5人の講師の先生にそれぞれ、先程の鈴木さんのようなお話をそれぞれ別個に、別々の部屋でやっていく。それを学生が聞いたあとに、次にまた全体の会議場で、東京医科歯科大学で学びたいこと、学べばならないことということを学生さんに考えさせる。それを全員で発表させる。この部分にこの患者との対話という、この患者さんのお話を聞かせたいというのが、一番このオリエンテーションで患者さんをお招きした一番の理由でございます。
 2日目は、先程言いましたように、そのあと朝、食事をしたら、ボランティア活動に行って、そのあと彫刻の美術館で見学してまわる。かなり盛りだくさんのメニューになっておりますが、この数年間はこのようなかたちで行っております。
 非常に桜がきれいな時期でしたけど、食事して、これ、谷口先生がご挨拶して、これ、医学系の教授、これ、口腔系学科の教授がそれぞれの学科の説明を全員に聞かせるのですね。医学科の学生が医学科を聞くのではなくて、歯学科の学生も、口腔も、すべての学生が自分の大学の他の学科が何を教わっているかというのを全部聞いてくださいというふうにやって、これはみんな仲良くなるためのひとつの作業ですが、その次に、ここですね、そのあと90分ですね、5つに分かれて、今日皆さん来ていただいたと思いますけども、内田さん、鈴木さん、和田さん、天野さん、多和田さんに今回は来ていただきまして、それぞれ5つの部屋でほぼ50人から55人に学生に向かっていろいろご自分の体験、あるいは患者さんが期待すること、いろんなことを講演していただきます。
 次に、また大きな部屋に戻りまして、そういうことを学生が、全員がいろんなことを共有するのですが、いろんなことを共有して、ちょっと仕組みがありまして、ここにいるこの学生のグループ、これ、20グループぐらいをつくるのですが、この20グループというのは、この5人の講師の先生のどこかを聞いた、つまり、ひとつのグループがひとりの講師の先生を聞いていたのではなくて、5人の講師の先生、例えば、この天野さん、この人は多和田さんとか、全部混ぜるグループをつくりまして、そしていろいろこういうのをやって、最終的にはいろんなものをつくってみんなで発表するという、こういうことをやらせます。
 次の日は、これは川原ですけど、ボランティア清掃して、最後は彫刻の森で、たまたまいい天気の日ですから、開放的になって、1日が終わるという、こういう2日間なのですね。
 もうひとつ、もし文章でこの患者さんとの対話というもののプログラムの意義を、先程お話しましたけど、入れますと、皆さんの今日のお手元のプログラムにも書いてありますが、ご自身が闘病生活を経験された方、現在も難病で闘病生活を送られている方、互角族の闘病生活を支えている方、合わせて、患者団体活動を行っている方々を講師として、学生に様々な経験を伝えてもらい、たぶんこんなお話を聞くのは、学生は生まれて初めて、それも医科歯科大学に入って、わずか4日目に聞けるとは思わなかったと思いますけども、そのようなことをさせていただいて、医療従事者として、教育を受ける学生たちのスタートの時点で、患者さんの視点の尊重、患者さんの中心の医療の重要性というのを、医科歯科大学としては入学してすぐに理解してもらいます。
 もちろんどこまで理解してもらえるかは、学生さんのそれぞれのいろんなもので違うと思いますが、少なくともみんな同じ共有なものをもってもらいたいということで、この日にとりあえず患者さんのお話を聞く。
これがひとつの今年の実例ですが、いろいろありますけども、この辺が非常に効果が出ているのかなと思います。例えば、勉強で学べないことなのですね、視野を広く持とうとか、コミュニケーション能力をつけなければいけないとか、自戒の精神、道徳とか、誠意、思いやりをつけなければいないとか、こういうのはたぶん講義では学べないと思います。そういうふうに考えますね。最初、これ、人間として必要なもの。研究なんかもあるのですけど、医療人になる前提として、いろんなことを考えないといけないのですが、問題はここだと思うのですが、非常に特徴的な、ここに、心という、その前にチーム医療とはどうすればいいか、どうすれば患者さんにとってより良い医療を行うことができるかというのを自分たちで勉強しなければいけない。その前をみますと、最低限のこととして、医療ミスを防ぐための方法、これは技術ですね、技術や知識を持つけども、その次はチームとしてはどうすればいいのか。こういうのをもうすでに考えてくれるわけです。最後にして心として、患者さんの考え、人にやさしい医師になる。患者さんとの接し方、患者さんの求める、例えば、看護師とはなんだとか、個人差があるのだ、要するに患者さんには個人差があるのだと。ひとつの判断力が必要だということを学びたいということをもうすでに書いている。こういうのが、私たちが非常に、この入学して1週間も経たないうちに医科歯科の学生がこういうことを考えてくれるということが一番この私がやりたかったことであります。それにこの患者の講師のお話が非常に強く影響しているというのも、結果としてももうすでに出してくれているというのが、非常に私たちとしては嬉しいことであります。
それで、実はそのあと、患者さんと教員で、このプログラムが終わったあとにすぐアンケートを取ります。すぐに取って、その日のうちに回収するのですが、これは学生のアンケートなのですが、学生は基本的にほぼ全員がアンケートの結果を返してくれます。5というのが一番良く、4も大体良かった、3が普通で、1と2はあまり意味がないと否定的なわけですが、見ていただくとわかりますけど、1、2、3はだれも、1人いましたけど、1と2、要するに否定的な人はだれもいないで、普通というのが約3%で、すごく良かったが76で、まあまあ良かったというか、ある程度価値があった、合計で96%は良かったと。非常に学生さんが評価してくれています。これを評価しない学生なんてたぶんいないとは思うのですけども、でも数字上でも評価していただく。これは自由記載でありまして、非常に多くの学生が自由記載していただいたので、その一部だけをピックアップして、決して、良いことだけを書いてきたわけではありませんが、「想像力、冷静な知識、温かみのある言葉の大切さを知った」とか、「実際、病気にかかった経験のある患者さんの話を聞くことができて、私たちの役割について考えさせられました」とか、「実際の患者さんの話だったのでとても興味が湧いた」とか、「今後もこういう意見を聞ける機会を多く持ちたい」、「個人的にとても感動した」、「想像を絶するつらさを乗り越えて、患者をサポートする団体をつくった姿に感じるものがありました」、「患者と医療者の考え方のギャップについて考えさせられました」、「医療者目線だけではない、わかりえない患者の心を理解するのが必要だと感じた」、「本当に小さなひと言でも、患者さんの心を傷つけてしまうということを知ったからこそ、多角的な視点で物事を見たいと思います」とか、こういうことをすぐアンケートで書いていただいた。これ、患者さんの団体、患者の会の方々にも初めて見せるデータかもしれませんけど、非常に良いことを学生は書いている。
 教員なのですが、教員は30名ぐらいしか参加していないのと、非常に忙しいので、なかなかアンケートを返してくれないのですね。たまたま今回は14名、約半分弱ですが、40%ぐらいの参加教員からアンケートを取りまして、いろんな項目について、良かったか、悪かったか、というのを聞いたときに、この患者さんとの対話については14名全員が有意義だったというふうに回答していただいております。自由記載の中で2つしかありませんでしたが、「患者さんからのフィードバックを広報誌などに掲載し、学生が見ることができるようにするとより良いのではないか」、つまり、このあと、それから今度は、次に行われた調査結果ですけど、「影響が強く出たのではないか」というようなことを書いていただきました。あまりこの内容について、教員は書かないみたいですね。
 それで最後でございますが、医科歯科大学は少なくとも新入生オリエンテーションのときに患者講師の方々をお招きして、いろんなことを対話していただくプログラムはこれからもやる予定ですが、問題はいまの時点では結構それで止まってしまっているのですね。これをどうやって発展していけるかということを常々、今日おられる谷口先生、あるいは歯学科、医学科の教育関係の人たちと話し合っているのですが、それぞれ事情があるのですが、患者さんにさらに深く医学、歯学教育の相互協力してもらう。それは患者の視点の尊重、患者中心の医療の重要性の意識を常に持ちながら、医療者が成長していくのに非常にやはり大切なのではないかということ、つまり継続してかかわっていくことが大切ではないかということについては一致するのですが、そのようなカリキュラムで参加してもらうのがよいであろうかということについて、なかなかいいアイディアが私たちのほうからも浮かばないので、今日たまたま先程鈴木さんが言われましたけど、そういうふうなカリキュラムに最終的に参加できないかと考えていきたいというようなことを患者さんの会の方も考えているということで、ぜひ一緒にタイアップしてやりたいなと思っています。
 それからもうひとつ、入学時だけでなく、学年が進み、臨床実習などで患者さんなどとかかわるようになってから、これはもう高学年ですね、大体、医科歯科は医学部も、歯学部も、大体6年生になると、患者さんの実習に出ていくのですが、そのような場になって、同じような企画を実施したらどういうことが起こるのだろうかということを、これ、私の個人的な意見ですけど、医学的な専門知識を十分に習得してきているので、患者さんとより良い有意義な対話ができるような医師、歯科医師になる寸前の学生さんの教育ができるのではないかということを私は考えています。
 問題は、ここの部分が今日、非常に私どもいつも思っているのですけど、先程みたいな入学して1週間は非常にピュアです。何でも受け入れる。これからどんどん勉強したい。医学、歯学も多くの学生が全然知らない。そういうときは非常にピュアなのですね。ですから全部受け入れてくれるわけです。ところがどんどん、そのあとこういうことが行われていなくて、突然、臨床実習に出たり、患者さんの方と触れ合うようになってから、もう一回患者さんの方からお話を聞いたときに、私は、これ、疑問なのですけど、心配事は、医療人として考え方が当然形成されつつある。それは当然、医療人としての考え方を形成するように教育をしているわけですから当然なのですが、こういうような学生さん、医療を学ぶという学生と、患者という、医師より、要するに、医師、特に医学科と歯学科の場合は医師、歯科医師になるということがもう目前に出てきているわけですね。自分は医師、歯科医師になるのだという、そういう教育を受けてきて、どんどんどんどんそういう気持ちが醸成してきているわけですから、このような考え方の学生と患者という意識が強く出てくる可能性が非常に高いと思うのですね。間違いなくそうなります。そのときにどういうことが起こるのかというのについては、どこかに事例があれば一番いいのですけど、医科歯科大学でやってみたいなと思いますけど、ちょっとこちらのほうに対して、何が起こるのかなというのがいまちょっと、やってみないとわからないですけど、少し掴みかねていないということについてが、少し不安なことがありますけども、と言いながらも、いま私たち、谷口先生もお話していますけども、高学年における患者さん参加のカリキュラムの実現に向けて、いま模索中でございます。できれば来年あるいは再来年から実現したいというところまできているので、ぜひこれを実現したいと思っていまして、それでできれば皆さん、患者さんの会の方々もご協力いただきたいなと。そういうふうに強く思っています。
 少し早口でしゃべりましたけど、ご清聴有り難うございました。


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