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  〜医療教育への患者参加〜闘病体験を教育現場にどう活かすのか?

基調講演(模擬授業)
  「患者講師とは何か?〜闘病体験を語る患者たち〜」
  鈴木 信行   患者講師・日本二分脊椎症協会 前会長

 

 ご紹介を有り難うございました。鈴木です。今日はよろしくお願いいたします。
 私は患者講師ということでかれこれ20年ぐらいやってきております。そういう経験を踏まえまして、今日こういう場で、基調講演の場をいただいたことに大変感謝しております。20分ぐらいの短い時間ですが、よろしくお願いいたします。
 私ですけれども、耳慣れないかもしれませんけど、二分脊椎という病気をもっております。歩き方がおかしいとか、見ていただければわかると思います。今日は別にこの病気の説明の時間ではありませんので、そういうところは端折らせていただきます。その辺はご了解ください。あともうひとつ、私は精巣腫瘍というがんをやっておりまして、そちらのほうで患者という立場になっております。身体障害者、そして患者という両方の立場がありますので、その辺から何か活動できないかなということで、こういうふうな講演活動などをしております。


 

 講演実績ということで少し挙げさせていただきましたけれども、今日は大学系の方、あるいは企業系の方もいらっしゃいますが、私がとても面白いなと思っているのは、大学などの学生団体などが私たち患者たちにアプローチしています。学生たちが自ら「勉強させてください」ということで私たちのところへ来て、そして、何年も続いている学生団体もあります。そういうふうな学生が自ら勉強したいがために患者たちを招いている、そういう中で、だけれども、なぜ大学や企業ではいまひとつうまくいかないのだろうか。そんなことも私は疑問に思っております。そんなことで、全体を含めまして、パーソナルなお話をしたいなと思っています。
 今日、先程、司会の阿南さんのほうから実行委員長とご紹介いただきましたけれども、私たちが目指しているのは何か。先程、和田さんのほうからもお話がありましたが、患者講師という立場で、患者あるいは元患者と言えばいいのでしょうか、そういう人たちで、なおかつ講師として話すことができる、そういう人たちが世の中にはおります。
 一方で、そういうような話を求める、「医療教育機関」という言葉で今日は統一しておりますが、これは学校であったり、企業であったり、立場はそれぞれだと思いますが、なにか教育に患者講師を招きたい人たち、それがどうしてもマッチングしない。そこに私たちはいつも苛立ち的なものを感じていまして、そういう中で和田さんが率いるいいなステーションという取り持ち的な組織がありますので、そういう組織がうまく介入できないだろうか。そんなことを考えているのが、このプロジェクトの全体像です。
 このプロジェクト、実はようやく動き出したところでして、今日、何か結果を教えてほしいという方にはちょっと正直いうと物足りなさを感じるかもしれません。それは質問用紙あるいは今日の最後のアンケート用紙などでご意見などをいただければいいかなと思います。
 こちら、お手元の14ページにほぼ似たようなことが書かれていますけれども、この先、今日は、まだ課題を挙げる、そして、それについて解決策をみんなで考えていきたい。そんなふうな場です。この先、実際にこういうふうな患者講師のデータベース化などが進み、そして、教育機関、企業だったり、大学だったりが、患者講師にアクセスできるようにこれからしていくという、そんな流れがあります。
 ここまででしたらなんとなくイメージが湧くのですが、この先、実は私も、和田さんもなかなかイメージが掴み切れていない部分がありまして、まずは、教育カリキュラムを逆提案できるようにしていきたいなと思います。例えば、1時間で講演する。これはだれもがイメージがつくのですが、ではこれが5時間だったらどんなことができるか、半日だったらどうなるのか、1日だったらどうなるのか、1泊2日だったらどうなるのか。この医科歯科大学では1泊2日のカリキュラムの中に私たちを参画しているのは、結構長い時間介入させていただいている。そういうものも踏まえまして、逆に「こんなことができますよ」というような教育プログラムを用紙し、提案できる。そういうふうなものをつくり上げていきたいなと思っています。このあたりで、たぶんあっという間に1年が過ぎてしまうかなということで、来年のいまぐらいにもう1回シンポジウムをやりたいなとなんていうところを期待しております。
 それが終わりまして、そのあとに実際にこういうふうないろんな教育プログラムがあって、でも成果はどうなのか。その成果を解析して、それを実際に教育機関にフィードバックする。そんなふうなシステムが必要だろうなというのを感じていまして、まだそれを具体的にするにはまだまだ課題がたくさんあります。そういうところで、今日の患者講師、あるいは今日演壇に上がっていただくみんながそれぞれ悩んでおります。そういうところで、会場の皆さんからもお知恵を拝借できればいいかなというふうに思っております。
 私がなぜ基調講演、最初にトップバッターなのかというところで、一応、私のほうの目的ということでいくつか挙げておきましたが、そもそも「患者って何」、結構疑問が、ひと言で簡単に言ってなんとなくイメージはつくのですけれども、「それって何なのだろうか」、結構悩ましいところがある方がいるのではないかなということで、とりあえず「鈴木がやっている患者講師とは何だ」ということで、紹介してみようという、そういうふうな話かなというふうに思います。
 「患者講師は単にしゃべれればいいのではない」というのが、私たちの持っている考えとして、やはりそれなりの質は必要でしょうと。では、「患者講師の質とは何か」。それは、私が、十分にそれがあるということを言いたいのではなくて、私の話と、あるいはこの先、今日ご登壇いただく人たちの話を聞いて、「もっとこういうふうな必要があるのではないのか」、そんなことも踏まえて、ご意見をいただきたいと思っております。
 そういうふうな資質がある程度あるとして、そういう人たちが医療教育に参画する価値、どういうところにあるのか。価値があるとすれば、どういういったもので、そのための課題の解決策はどういうものがあるか。そんなことを考えてさせていただければなと思います。
 一応、私たちが思いつくところはお手元の資料の後半のほうに載っていたりします。ですので、それに対する解決策の案でもいいですし、あるいは全く違う、「こんな課題もあるんじゃないの」、そんなご意見でもいいかと思いますが、その辺をお願いしたいなというふうに思います。
 早速、では、私がやっている患者講師、どんなことをやっているのかということを模擬授業というかたちで実践をしてみたいと思います。実際に今日は立場皆さんばらばらなのですね。なので、非常に話しづらいので、もう実際の実例をもってきました。これはもうあとで出てきますが、実際に医科歯科大学で大学の先生を対象に私がしゃべっているそのままのスライドを全部もってきました。
 大学1年生、入学してまだ間もない、1週間ぐらいだったと思いますが、そのぐらいの学生たちで、学生が50名程度いて、教室の中で90分の講演をしています。それをこれから10分、10分を切りましたか、そういう中で話をしていかなくてはいけないということで、ただ、今日、非常に端折りますけれども、なんとなく、ここにいる皆さんだったら、ある程度こんな話をしている、イメージは掴めると思いますので、いいかなと思っています。
 私は、ターゲットがだれであれ、聴講者がだれであれ、そこで必ずひとつ、今日言いたいことは何だろうということを伝えております。大学1年生のみんなに言いたいことは、「何事にも目的意識を持ってほしい」、そういうことをお話しています。これだと全然私が患者である必要が何もないわけで、それで私が二分脊椎、あるいは精巣腫瘍というふうな立場から話を結びつけていくわけです。
 ずっととばしますね、こんなふうな、目的意識のことをしゃべっていますが、まず学生に考えてもらいます。皆さんがいま考えてもらってもいいのですけれども、大学生ですから18、19で、皆さん、妊婦さんもしくはその旦那さんになった気分になってもらって、これから話をします。これは実際にあった話です。医者がその妊婦さんを呼ぶわけです。妊娠18週目の妊婦さんで、超音波、エコー検査のあとに、妊婦さんとその旦那さんが診察室に呼ばれて、医者から1時間ほど説明を受けたというシチュエーション、学生に成り切ってもらいます。
 それで医者はこういう説明をするわけですね。ここで細かい話はしませんけども、とりえず、「どうもお腹の中の赤ちゃんに病気があるみたいですよ。背中にこぶがありますね」、この病気は何かと先生がごちょごちょごちょしています。学生に対してはもうちょっとやさしく言いますけれども、こういう難しい言葉で言われるのですね。それで、こういうような絵を見せられる。これをこういうふうに説明があったとして、皆さん、どう思いますか。皆さんのお腹の中の赤ちゃんがこういうような病気だと医者に言われました。どう思われますか。考えてもらう。聞きます。そうすると、大抵、この子は本当に生まれてくるのだろうかと不安を感じたり、先週、ある看護学校に行って、これをまさにやったのですけども、そうしたら、「中絶を視野に入れる」とはっきり言っていました。「ああ、なるほど。ストレートな言い方だな」と思いましたけれども、そんなふうなものがいろいろ出てきた。でも実はこれが二分脊椎という病気でして、まさに私の病気なのです。
 ここに写真を1枚用意しましたけども、この子なのですね、この子、いま3歳になります。実際にこの医者の説明があって、でも成長したのはこの子なのです。この子は生まれる前にいろいろ言われて、生まれてすぐに手術をする必要があって、1、2週間後には手術をして、実際に手術をしているのですけども、「場合によっては突然死します」とか、そんなふうな言葉まで言われている子がこうやって成長するのだよという話をします。
 「あれっ」と、ここで学生に気付いてほしいのです。「あれっ、さっきの人と違うな」、これはなぜかなというような話です。これは、僕は、医者と患者側の、ここの検診、エコー検査に対して目的がずれているのではないのかという、ひとつテーマにしております。医者は、あれは、嘘をついていないですよ、正しいです、医療面についての説明をした。だけど、患者はここで、あの情報からこの子の人生そのものを一生懸命考えてしまう。そうすると、やはりずれが生じる。そんなふうなことに学生に気付いてもらう。そんなことをしております。だけど私のような人間もいる。もちろん私のように元気に過ごせていない人も確かにいるのですよ。いるけれども、私のような人間もいるのですよ。
 そういうふうな検診というのは、ではどうしてずれるのでしょうか。これももちろん学生に考えてもらう。医者がどうして健康検査をするのだろうか、妊婦さんはどうしてそれを受診するのだろうかと考えもらう。これが、実は大学1年生ぐらいだと、下のほうの答えが純粋に出てくるのですけども、大学3年生、4年生とかになってきますとだんだんそういう一般の感覚を忘れているのですね。ここでずれているという発想がないのです。ところが実際はずれている。感覚はずれていて、医者が胎児の異常というのを発見する、当然そういう発想の下で検査をする。だから検査をするわけですけども。
 ところが妊婦さんの場合は、そういう発想はあまりないのですね。羊水検査など先に進めば、話は別なのですが、超音波の段階では受けるのが当たり前でしょう。そこに目的、考えている暇がない。そんなふうな妊婦さんが多いというふうに私は思います。そんなふうな現実がある。
 では、そうすると何が起きるか。中絶が可能な時期に前に二分脊椎というのが判明するわけです。ですから当然、中絶という問題が上がって、増えてくるわけで、これは、日本ではデータがありませんけど、胎児の病気を理由にした中絶にしたは認められないのでデータはしっかり取れませんので、海外の例を見ていますけども、フランスなどは、5割は中絶しますねというデータを示しております。
 二分脊椎に限らず、いろんな病気が発見されますが、「世界78カ国のデータでは48%という、そんなふうなデータもありますよ」と学生さんにこういう「データをどう思いますか」と。皆さんは皆さんで、学生さんはこれから医療者になっていく人たち、そういう人たちはこういうところに直面していくのですよ。実際に悩んでいる人たちの実際こういうことも紹介しております。
 二分脊椎の話をしても、たぶん医療者はそんなに二分脊椎とこの先出会う機会があまりないので、そこら辺から一般論に落として込んでいるのですけども、例えば、おばあちゃんがリハビリをしている写真を見せて、実際にあるだろうなと思う、これ、患者さん、「もう訓練したくないわ」みたいな、そういうふうなこともあるでしょう。さあ、これをどう考えますか、こういうとき皆さんだったらどうしますか、提案で学生に考えさせます。目的意識なのです。
 このおばあちゃんはどうして訓練をしなければいけないのかという目的が見えないわけですね。ところが医療者はなぜか、おばあちゃんが歩けることが一番と思ってしまう。なんかそこが目的になってしまう。それはずれていると思いませんか。私は思うのです。おばあちゃんが言っていることも最もで、「別に歩けなくてもいいじゃない」と言われたら、返す言葉がなかった。そういうときに、目的意識ということで、医療者がやはり考えてほしい。例えば、おばあちゃんが、例えば、お孫さんに会いに行きたい、そういうふうな人生の目的がなんとなく見えてきたら、歩くという必要性が見えてくるのですかと。そんなふうに、この辺も時間があれば学生に考えさせて意見交換してまいります。
 私ががんで入院しているときの写真ですけども、私はがんで入院して、入院した日にすぐ、真っ先にしたことは何かというと、カレンダーを掛けました。なぜか。私は、このときの私ですよ、いまの私ではないけど、このときの私は会社に入社したてで、会社の許された休職期間中に私は会社に戻るというのが私の人生観、抗がん剤で何カ月も入院しているわけにはいかない。そういうふうな意味を込めて、私はカレンダーを交換しました。
 こういうふうなところをなぜするのか。私の人生観が、例えば、この休職期間中に戻らなければいけないとなったら、当然、医療側が、治療方針が変わってくる可能性があります。医者はいたってガイドラインどおりにやろうとしますけども、そうなったときに、医療者としてはどういうふうに対応するかというような心構えを持ってほしい。
 これは何のために生きるのか。目的意識だと思います。患者というのは別に病気を治すために生きているのではなくて、自分の人生を全うするために生きているのであって、病気が別に治らなくても、私は二分脊椎という体で歩き方はおかしいですけど、いまさらちゃんとした歩き方になろうなんて思わない。そんなふうな夢を描いたことがない。それはなぜか。まさにそれは人生観、生きる目的だと思います。そこのところがずれている。その辺を学生に気付いてほしいなと思っています。
 こういうような、学生と意識を合わすためにはということでいくつかお話をしますけれども、学生は「勉強は大変だ、大変だ」というけど、そんなのは底辺の一番下にある、皆さんが思っているよりもっとつらい世界がある、そんなふうな話を最後に付け加えるわけです。
 さらに話を広げて、学生の皆さんの目的は何なのだ、もっと目的を持ちなさい、医療者になる目的は何のですか、医療者の組織としての目的は何なのですか、あるいは、あなた個人の生きている目的、人生の目的は何なのですか。目的は変わってもいいですけども、持たないというのは、それは問題です。大学1年生にもなれば、どうしてそういうふうな道を進んだのか、そういうふうな目的を常に考えてほしい。そんなことを私はメッセージとして伝えております。
 というようなことを90分でしゃべるのです。10分ちょっと、10分過ぎてしまいましたね、というようなことを私はやっております。皆さんがどう感じるか。これは私の、あくまでも私の事例です。このあと、天野さん、内田さん、多和田さんとか出てまいります。その方はもちろん別の、自分の病気をもとに別のお話をしていきます。だから、私の話が絶対にとか、そういう話ではなくて、こんなことを言っているのが患者講師かなというふうに感じとっていただければいいかなと思います。
 患者講師の定義もはっきりしていない。これも決して、これが絶対に正しいとかではなくて、あくまで一意見ですけれども、「患者ら」、私は身体障害者という立場があって、「ら」という言葉をつけましたが、私たちが医療を受ける側の視点から医療を提供する側に対して、これは大学であったり、企業であったりとかと思いますが、対して、教育活動等を行うことで医療の質向上を目指す人かなと何となく思っております。いろいろ言葉が足りないとか、ご指摘があるかもしれませんが、その辺はまたご意見をください。
 患者講師の素質、資質というところでは、何がというと、正直言って、自分の経験をべらべらしゃべるというのは私個人としてはあまりどうなのかなと思うところがあるのです。そうではなくてやはり自分の気持ちはそれは生かさなければいけない。それはでも生かして、なおかつ社会的なものとか、あるいは客観的な情報などを取り入れる。そういうものができていないといけないかなと思います。
私は、抗がん剤の話をするのですけど、実際に吐き気はすごく苦しかった、十何年前の私の抗がん剤治療、でも、いまは抗がん剤の吐き気に対する薬というのが、いいのが出ていますよね。だから吐き気についてしゃべってもしょうないのです。そういうのもちゃんと情報を得て、自分の話を組み立てられる、そういうふうな資質は必要かなと思っています。
教育活動を行う際に対象者のレベル、いま大学1年生に対してだから非常にわかりやすい話でしたが、例えば、私、この前は製薬系会社の人、非常にターゲットがわかりづらいので、患者講師でどうしゃべるのだろうと。だけども、それに、対象者に合わせることが必要になる。それで、どういうような教育効果を目指すのかというのを考えて、私たち患者講師という立場は、講演の内容なり、プログラムなりを考えなければいけないのではないのかなというふうに私は思います。
患者講師に求めること。これは自分に対して言っているようなこともありますけれども、自分のことばかりしゃべっているのではないですか、あるいはプレゼン能力の向上を目指していますか、あるいは自分の発言に責任を負う覚悟がありますか、聴講者の立場を理解していますか、そういうふうな、これ、正直言って厳しいのですよね、患者講師は別にこれが自分のビジネスになっているわけではなくて、結構、みんな善意なんていう部分もあるので結構なあなあになってしまう部分があります。ですが、そうではなくて、こういったところをやって、自らの患者講師としての意識向上を図っていく。そんなふうな必要もあるのではないのかなと思います。そういうふうなことも踏まえて、和田さんの活動に非常に共感して、今日こういうふうな場をつくらせていただきました。
最後になりますが、皆さんへのお願いということで、患者講師の価値、私のあくまでひとつの例ですけれども、そういうようなものを紹介しましたが、それをどう感じましたか、課題だとか、その辺を質問用紙とか、アンケート用紙、あるいは今日書き切れなかったら、いいなステーション宛てに電子メールを送る。それでもいいかと思います。そういうところで皆さんのご意見をいただければ有り難く存じます。
といういうことで、非常に早口で申し訳ありませんでした。ご清聴有り難うございました。
 


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