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中日新聞コラム 気になる医療用語

31) 患者さま

2007.5.11掲載

 あなたは通っている病院で、「○○さん」と呼ばれていますか?それとも「○○さま」でしょうか。1990年代後半から「医療はサービス業」という認識のもと「患者さん」ではなく「患者さま」に呼び方を変える病院が相次ぎました。ところが最近、再び「患者さん」へと戻すところが出ています。
 医療は目に見える「モノ」を売る商売ではないという意味においてサービス業ですが、病院では、患者の回復のために指導的立場を取ることも少なくないため、ホテルや美容院などのお客さまと従業員との関係とはまったく異なります。私は、学校の教員が学生を「さま」付けで呼ぶのと同じくらい、医療現場で患者さまと呼ばれることには違和感を持ちます。
 呼称の変化には、保険料未払いの患者が治療の際に権利ばかりを主張する問題なども影響しているようです。さらには最善を尽くしたにもかかわらず治療結果が芳しくなかったからと、医療者に暴言を吐く患者・家族さえ現れてきました。「患者さま」の呼称が「お客さま」意識を不自然に増長させ、それが「対価を払っているのだから結果の保証は当然」という行き過ぎた言動につながるのかもしれません。「さま」呼称の問題は、医療者と患者との関係がどうあるべきかを改めて考え直すよい機会となりそうです。

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